KSRⅡはもちろん、単相交流半波整流方式を採っているバイク(大半は原付クラス)では、HIDやLEDキットを買ってきて、”ポン付”すると、バッテリー上がりを
起してしまうため、やはり全波整流化してから、これらの装備品を装着する方が、懸命だと思われた。では何故、ハロゲンよりも電力消費が少ないHIDや
LEDなのに、”ポン付”でバッテリーが上がるのかが疑問となるが、これは、これらの電装品が直流方式を採用しているからダ・・・つまり、バッテリーからの
電力を使う為である。先にも述べた通り、半波整流ではヘッドライトなどの高負荷電装品は、エンジンの回転によって発電される交流電力を、そのままライト
に流し、バッテリーには依存していない。なので、バッテリーは、ウィンカーや警告ランプ等を点灯させるための電力、せいぜい20W程度の出力があれば、
それ以上の電力は必要ないし、発電量もそれほど多くなくても良いのである。一方、HIDなどの高負荷電装品を取り付ける場合、どうしても直流方式の電気
が必要となりエンジンから発電した交流電力のままでは使用できないため、バッテリーに依存する形となる。こうなると、いままでは20W程度しか必要なかっ
た電力が、50Wか、それ以上の電力が必要となってしまい、半波整流のままでは充電が追いつかなくなって、バッテリー上がりを起こしてしまうのダ!HID
は、モノによって多少の違いはあるものの、電圧が約9Vを切ると、高圧電力を発生させることができずに消灯してしまう。なので、HIDやLEDの装着をお考え
の方は、全波整流を行うべきである。

最後に・・・
最近では、良く”交流方式”でも大丈夫と言われているHIDキットや、LEDキットが売られているが、どこまで安定して光を灯すことができるかが不明である。
特にLEDは、発光するダイオードなので、ダイオードは電気の流れを一方向にしか流さないという特性がある。なので、少なくとも発光部は直流電流が必要
なのだか、いかんせん、どのような構造になっているのかが勉強不足で何とも言えない・・・ともあれ、この全波整流化は、とても地味なカスタムで、また目
に見えない電気を扱うため、初めから「訳わかんねーやー」と、思われる方は、手をつけないほうが良い!もし失敗すると、最悪の場合、バイク自体を廃車に
してしまうような事態に見舞われる可能性もあるので、改造には、細心の注意を払って作業に挑んで欲しいと思う。
次に、コイル側から出ている黒色の線がジェネレーターの本体にアース
されているのがわかるだろうか・・・
このアースされている黒色の線は、一方が発電用のコイルから出ており、もう一方は、イグニッション用のコイルから出ているのだが、このイグニッション用のアース線はそのままに、
発電用の線を根元から切断する。

次に、この切断した黒色のアース線(コイル側)と、先ほど切断した黄色の配線(車体側)を繋ぐ。当然のことながら、絶縁処理は完璧にしておくことが重要!この作業で、いままで
せっかく発電されていた半分の電力が、この作業により捨てられずにバッテリーへ蓄えられることになるのダ!!


これらの作業が完了したら、外した手順とは逆に、ジェネレーターを車体に取り付ける。先ほどお伝えした、Iマークを合わせることを忘れずに!
KSRⅡ HID化計画
~全波整流への道のり~
~編集後記~
配線が出来たら、いよいよ最後の仕上げ、車輌に取り付けて完了。
エンジンを掛けなくても、キーONでライトが点灯していれば、全波整流は出来ている。また、全波整流によって、充電電圧が13V~14V台で安定してい
るので、過充電によるバッテリーの破損も無くなる。また、半波整流では、エンジンの回転により発電した電力を、そのまま取り出してライトに電気を供
給し、エンジンの回転数によって電圧が変化していたのだが、全波整流とすることで、バッテリーから常に安定した電気が供給されるため、信号待ち等
にライトが暗くなることもなく、なにより、HIDやLEDなどの高負荷電装品を装置できるといった利点がある。
因みにHIDを装着して、2週間程経つが、ライトは1度も消灯したことが無く、ちらつきも無い。また、バッテリーも元気であり、全ての電装品において何
のトラブルもなく順調に日々の生活を送っている。


ph7のHIDバルブを、購入したマルチリフェクターレンズに組み込み、ノーマルのヘッドライト
ランプレンズと交換する。

KSRⅡのカウルを止めているボルト4本を外し、カウルごとライトを取り外す。
先の改造により発電量がUPしたKSRⅡに、待望のHIDを組み込む事にした。
と、いっても、ヤフオク等でph7用のHIDキット(¥5、000程度の物)を購入し、配線
図を元に組み付けただけの”ポン付”であるため、写真が少ないので、ご了承
願いたい。今回、HID化に伴い、ヘットライトもマルチリフェクターレンズに交換
することにした。
さて、ここまでいかがだっただろうか・・・これで、単相交流半波整流から、単相交流全波整流への改造がされた訳である。確かに、派手なカスタムではないが、
実に有用なカスタムであることは、間違いないと思う。ただ注意しなければならないのは、全波整流を行うことで、電装品はヘッドライトを含め、直流となるので、
ほとんどの電装品は、バッテリーに依存してしまうため、KSRⅡのようなバッテリー容量が小さいバイクは、電圧管理をこまめに行う必要がある。また、イグニッ
ションスイッチに全ての電流が流れるので、ヘッドライトのような電圧が掛かる電装品を使用する場合は、リレーなどを使って、配線を引き直した方が良いと思
われる。私はこの後、HID化に踏み切ったので、その時に配線を引き直す必要があったため、ここでは手をつけていなかったが・・・

次に、元々車体についていたレクチファイヤー(写真右)のカプラーを外す。これはもう使用
しないので、外したカプラーを、絶縁処理を行った後、車体側に固定しておく。

上記作業をもって、めでたく全波整流された訳だが、このままでは
ヘッドライト、テールライトが点かないので、これらの電装品に、電
気を供給してやる必要がある。

その方法は、イグニッションスイッチから車体に伸びているメイン
ハーネスのうち、茶色の線があると思うが、この茶色の線に、元々
半波整流用レギュレーターについていた黄色の配線を割り込ませ
てやると、電装品が使用できるようになる。
外したジェネレーターを加工する。
左の写真を参照して欲しい。黄色の保護テープで巻かれているのは、
イグニッション用のコイルなので、コレは触らないようにして欲しい。

次に3つのコイルがあるが、これらのコイルは1本の銅線で繋がれて
いる。そのうち、コイルから黄色の線が1本出ていると思うが、この黄
色の線をペンチで切断し、切断した黄色の線のコイル側の配線を、ビ
ニールテープ等でショートしないように、厳重に処置をしておく。


注)黄色の線は、コイルと銅線移行部で切断せず、少し余裕を持たして切断すること。
  私はハンダ処理してある部分で切断した。
○
左の写真の↑①・②・③の箇所のボルトを緩め、ジェネレーターから出ている配線を辿り、車体側のメインハーネスと繋がっているソケットを外す。

なお、①部のボルトを外す際、ジェネレーター部のIマークと、車体側のIマークが一致していることを確認し、取り付ける際は、このIマークを合わせ
る必要があるので、注意して欲しい。
↑

写真のようにユニバーサルホルダーを、フライホイールに取り付け、
センターボルトを緩める。(ネジは正ネジ)

マグネットフライホイールプーラー
ネットショッピングなどで¥600~
Y型接続端子
カー用品店などで¥300程度。
念のため2セット購入しておく。
単相全波整流用レギュレーター(4ピン)
汎用品で可。
アマゾンや、ヤフオクで¥1、000程度。
さて、各論では長々と発電システムについて述べたが、いよいよここからは、KSRⅡユー
ザーの方にお役に立てれば本望である。

まず、全波整流に改造する前に、KSRのタンクとシュラウド、シート、リヤカウルを全て外し
て作業を行う。全波整流への改造は、メインハーネスを加工する必要があるため、これら
の部品を外しておくと、後々、作業が楽に行えるからダ!

そして、必要な部品をここに列挙しておくので、それらの部品をあらかじめ準備をしておい
てから、作業スタートとなる。
各 論
総 論
では、なぜこの単相交流半波整流の方法ではマズイのか・・・
発電機は簡単に言うと、大きな電磁石である。小学校の理科の実験を思い出してほしい。鉄心に巻いたコイルの中に棒磁石を入れ、抜き差しすると、コイルに
電気が生じる。車やバイクの発電機も、まさにコレと同じ原理で、磁石のついた筒状のカバーが、コイルの周りをグルグル回ることで、電気を作っているのダ!
その際、磁石のN極とS極が入れ替わり、発電した電気は+と-が交互に入れ替わる交流発電となる。この電気をオシロスコープで見ると上の図のような波
形となる。
一方、車やバイクを制御している電装品の殆どは、直流の電気を必要とする。交流のままで使用できるのは、せいぜいヘッドランプぐらいだろうか・・・KSRⅡも
ヘットライトは交流のままである。そのほかの電装品、例えば、ウィンカーなどは直流であるが、レクチファイヤーという回路を用いて、直流電流に変換している
のダ。
では、どのようにして直流の電気を発生させているのだろうか・・・
本題に入る前に、もう一度、おさらいをしておこう・・・
車でもバイクでも、電気がなければ、エンジンが始動しないと言っても過言ではない。
そう、車やバイクにとって、電気は無くてはならない存在なのダ!大抵の車やバイク
では、エンジンが掛かると、その動力を利用して発電機を回し電気を発生させ、バッテ
リーを介して、各電装品に電力を供給している。この一連の回路を、”充電系”と呼ん
でいる。
今回、KSRⅡで問題となるのが、この充電系!KSRⅡに限らず、あまり電気を使用し
ない原付バイクなどは、殆どがこの”単相交流半波整流”という方式をとっている。因
みに、簡単な見分け方として、キーをONにしてもライトがつかず、エンジンが始動して
ライトが点灯するタイプのバイクは、この方式を採用している。
今回は、このヘッドライトに、無謀にもHIDを組み込むことにした。本来ならば、配線図通り、組み込めば、めでたくHIDの恩恵にあやかれるのだが、KSRⅡ
は、「単相交流半波整流」という、簡単な整流回路で、バッテリーの影響を受けるのは、ウインカーや、メーター照明及び、警告ランプぐらいなモノ・・・肝心
のヘットライトは、エンジンが掛かり、その発電量でランプを光らせているノダ!しかも、B1~B5までは、発電量が少なく、バッテリー上がりを起こし、B6
は、発電コイル量を増やしたものの、レギュレーターがプアなため、すぐにパンクしてしまい、過充電。結果、バッテリーの電極が焼けてしまい、バッテリー
をダメにしてしまうという、大変、お粗末な充電系統ナノダ!!!そこで今回、この大変お粗末な充電系統を見直し、本来、KSRⅡが持っている充電系を、最大
限発揮させることにより、HID化が初めて実現することとなるのである。

前置きが長くなってしまったが、KSRⅡのHID化に向けての手順をご紹介したいと思う。
因みに、「単相交流全波整流」は、各先輩方が挑まれた”奮闘記”を参考に、ジェネレーターを加工した。気になる方は、「KSR 全波整流」と、ググってみて
欲しい。
毎日通勤で使用しているKSRⅡ(B6)。片道、約8kmの道のりを通勤に使用している。
平成28年10月現在で、走行距離は43000km以上。初めてKSRのオーナーになっ
たのは、1997年(平成9年)の6月だった。所有したのはB1と呼ばれる初期型で、ラ
イトのON/OFFスイッチが付いていた。それから2001年(平成13年)には、B4型に
乗り換え、更に、2003年(平成15年)には、大阪のバイクショップで13000km走っ
ていたKSRⅡ(B6)を中古で購入し、現在に至っている。
つまり、KSRを3代に渡って約19年間乗り継いでいるのだが、一番長く付き合ってい
るのが、現在の愛車KSRⅡ(B6)で、13年間の付き合いダ!こう長く付き合っている
と、このバイクの利点、欠点もハッキリ解ってくる。その中で、一番、不満に思っていた
のが、ヘッドライトの暗さ!である。

2016.10.14

カウル裏側に、バラストやHI/LOWコントローラーを取り付ける。
次に問題となるのが、車輌から出ている配線のうち、ライトの
HI/LOWの配線を、HIDキットから出ている配線、HI/LOWそれ
ぞれ繋げる必要があるのだが、KSRⅡの配線は、ランプソケット
にハンダで直付けされている。そのため、この配線をペンチで
切って、ギボシを付けてHID用の配線と繋げなければならない。
肝心の写真がなく、大変、申し訳ないのだが、この加工につい
ては、諸先輩方のサイトに掲載されているので、「KSR ライト
配線加工」と、ググってみると出てくるので、参考までに・・・

HIDの取り付け
次に、あらかじめ購入しておいた全波整流用のレギュレーターの取り付けを行う。
このレギュレーターは、単相交流全波整流用で、レギュレーターからは4本の線が出ている。因みに、三相交流全波整流用のレギュレーターは5本、或いはそれ以上の配
線となるので、注意してほしい。
で、このレギュレーターから出ている4本の線のうち、赤色のリード線をバッテリーのに直結、緑のリード線側(アース)に繋げる。
レギュレーターの取り付け場所は、元々ついていた場所(上の写真中央)とし、単相半波整流用のレギュレーターを外し、単相交流全波整流用のレギュレーターを取り付け
(上の写真右)。この場所に取り付けた場合、レギュレーターと、バッテリーの距離があるため、購入しておいたリード線等を利用して、線を延長する必要がある。
【マウスポインターを当てると矢印が出るのでそこを切断】
③
②
↑
フライホイールを外したら、中のジェネレーラーが現れる。

センターボルトが緩んだら、ボルトを取り外し、マグネットフライホイールプーラー
を取り付け、プーラーのボルトをねじ込んでいく。
固くてねじ込めないときは、無理に押し込めずに、プラスチックハンマーやCRC
をクランクシャフトに吹き付けてから、再度、プーラーのセンターボルトをねじ込
む。

上記部品を購入し準備が整ったら作業開始である。
KSRⅡの発電機(ジェネレーター)は、左側クランクケースの中にあるため、シフトレバー
とフロントスプロケットのカバーを外す。
ギボシ端子セット:30セット
カー用品店などで¥900程度。
リード線 0.75sq
カー用品店などで¥350程度。
全波整流にあたりあらかじめ用意しておく部品
発電の特徴を理解しよう・・・
そこで、この単相交流半波整流を、単相交流全波整流に変換してやる必要があるのダ!(実際の改造のやり方は、後で述べる”各論”を参照して欲しい)
これまでの説明で発電のメカニズムは、大まかにご理解頂けたと思う。単相交流半波整流では発電量が少なく、HIDなどの電力を大きく消費
する電装品を装着する場合、発電量を増やさなければ、バッテリー上がりを起こしてしまうため、単相交流半波整流で捨てられていた-側の
電力もバッテリーへ蓄えてやれば、理論上、発電量が2倍となる。

上の図を参照して欲しい。波形図①で、発電機で発電された電力のーV1の電力を、全波整流用のレギュレーターを介して+V1側に変換して
やるのが、単相交流全波整流(波形図②)である。
【単相交流半波整流の波形図】
そして、先程加工したジェネレーターからの配線のうち、黄色の線と、元々車体側へ供給されてい
ピンク色の線を加工し、車体に取り付けたレギュレーターの黄色の線と色の線に、それぞれ繋
げる。

繋げる線は、どちらの線を繋いでも構わない。
           ↓
例)レギュレータ側の黄色とジェネレーター側の黄色。レギュレーター側の橙色とジェネレーター側のピンク色をそれぞれ繋ぐ。
  又はその逆でも可。



【※この作業の写真が無いので、実際の車体の配線と見比べながら作業を行って下さい。】
①
↑

左側のクランクケースを外すとフライホイールが現れる。

ユニバーサルホルダー
ネットショッピング等で¥550~
単相交流半波整流から単相交流全波整流へ・・・
で、ここからが本題!
単相交流半波整流では、発電量が大きくないため、ヘッドライト等
の大きな電気負荷がかかる電装品を装着すると、みるみる電圧が
下がり、35WのHIDをポン付けした日にゃ、5分と持たずにバッテリー
が上がって、ライトが消灯してしまう。
これはKSRⅡに限らず、単相交流半波整流している車輌では多少の
個体差はあるものの、同じ現象に見舞われる。
【波形図②】
【波形図①】
まず左の図を見て欲しい。先ほど説明した交流発電の+側だけを電力として取り出し、
かつ、この電圧が13V~14V付近の電圧(左図の点線付近)を、レギュレーターという回路
を用いて取り出し、レクチファイヤーで直流に変換しているのダ。これが、単相交流半波
整流である。因みに、-側の電気はアースされているので、充電されない。
KSRⅡのレギュレーターがプアな理由は、B6の発電量が強力で、この点線の部分をは
るかにオーバーし、約17Vまで達する。その為、レギュレーターのダイオードが、容量オー
バーでパンクしてしまい、バッテリーに多大な電流が流れ、結果、過充電してバッテリーが
お亡くなりになるという現象が起きる。製造元である川崎重工㈱もこの現象については対
策をされているようで、代替え部品として過充電が起きないレギュレーターを手に入れるこ
とが出来る。因みに、対策がされていないレギュレーターを使用していると、2~3ヶ月くら
いで、バッテリー上がりの現象が見られるので、心あたりのある方は要注意である。
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